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『悲歌のシンフォニー』の独唱に心を打たれました【N響11月B定期を聴く】 [音楽]

きのうはN響B定期を聴きました。
2週間前に「新世界より」などを聴いたばかりですが、月が替わっているので昨夜は11月分の演奏会です。

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NHK交響楽団第1847回定期公演 Bプログラム
日時:2016年11月10日(木) 午後7時開演
会場:サントリーホール(東京・赤坂)
指揮:デーヴィッド・ジンマン
独奏:マルティン・フレスト(クラリネット)
独唱:ヨアンナ・コショウスカ(ソプラノ)
曲目:モーツァルト クラリネット協奏曲 イ長調
   グレツキ 交響曲第3番 作品36「悲歌のシンフォニー」
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前半はモーツァルトのクラリネット・コンチェルト。
ソリストのフレスト(スウェーデン出身)はバセットクラリネットを使っていました。
オケは10型でコントラバスは2本。
最初、オケはどこか遠くで弾いているような響きで始まりましたが、クラリネットソロを聴いて納得。
とにかく音が柔らかくて、弱音が絶品なのです。
特に第2楽章の後半は、今にも消え入りそうな音で、オケの方も響きを壊さないよう細心の注意を払っている、という感じでした。

ソリストのアンコールにはエデン・アベス作曲「ネイチャー・ボーイ」という曲が演奏されました。
チェロの持続低音(ドローン)を伴って、(恐らく)クラリネットを吹きながら歌う(声を出す)という特殊技巧を使った曲でした。

後半はグレツキの交響曲第3番。
「悲歌のシンフォニー」と呼ばれています。
グレツキはポーランドの作曲家で、この曲は1977年の作。
FM放送などでも記憶がなく、生演奏を聴くのはもちろん初めてです。

フルサイズ(16型)の弦楽器群に、フルート&ピッコロ、クラリネット、ファゴット&コントラファゴット、ホルン、トロンボーンの管楽器が各パート4本、そしてピアノとハープという編成です。
つまり、オーボエ、トランペット、ティンパニ・打楽器は使われていません。
モーツァルトもオーボエが使われていないので、2曲ともチューニングの音はフルート(!)が出してました。

曲は、コントラバス(の半分)が奏でる低音(E線の音)から始まり、コントラバスの残り半分→チェロの半分…というように弦楽器が重なっていきます。
20分以上ある第1楽章の後半になって、管楽器群とソプラノ独唱が加わり、ポーランドの15世紀の「哀歌」に基づく歌詞が歌われます。

短めの第2楽章は、ナチスの支配下にあった1944年にドイツ秘密警察本部の壁に刻まれていた「祈り」の言葉。
さらに第3楽章はポーランドの民謡に基づいた歌詞が歌われます。
いずれも、母が息子を思う心情や、母に対して「泣かないで」と伝える悲しい内容です。
歌詞はポーランド語で、ステージ上では日本語訳が電光掲示板で表示されていました。

ソプラノのコショウスカ(ポーランド人)の歌が心を打ちました。
(この曲は1993年にジンマンの指揮で録音され、市場をにぎわしたそうですが、その録音でも彼女が歌っているそうです。)

弦楽器の配置は「通常」だったんですが、各パート、いつもは『トップサイド』(首席奏者の隣)にいるはずの首席代行や次席奏者が、中ほどに座っています。
各パートが半分ずつ(「表-ウラ」ではなく「前-後ろ」)に分かれて演奏するので、その「半分のパートのトップ」という位置づけだったようです。

管楽器は4人ずついるんですが、フルートやクラリネットが一部ソプラノ独唱と同じような動きをする以外は、4人で和音を奏でるのみ。
ファゴット(「並」2+コントラ2)と、トロンボーン(テナー2+バス2)は第1楽章で10小節ほど和音を吹くだけで、第2-第3楽章はお休みでした。
(オペラグラスでパートをを確認しました。)

こうした曲は、定期会員になっている演奏会でなければ、なかなか聞く機会がないと思うんですが、会場は空席が目立ったのが残念。
私の隣の席も、前半(モーツァルト)だけで帰ったようでした。
チケットの有効活用法はないんですかねえ…。

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コメント 2

hanamura

マイド!ラジオ前☆聴衆代表でオマス!(ラジオでの感想)
クラリネットは、ラジオでは、とても瑞々しく感じました。
『悲歌のシンフォニー』は・・・、最後まで聞いて・・・
そうですね。独唱部分は、印象に残っています。
(でも、ホールでは、寝たかもしれません。)
by hanamura (2016-11-11 19:16) 

Lionbass

hanamuraさま
私はP席(ステージの後ろ側)なので、実は独奏や独唱を聴くには不利なんです。
ラジオで聴かれた方が、ソロはよく聞こえたのではないかと思います。
by Lionbass (2016-11-16 15:47) 

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