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「一緒に歌うことが4つの合唱団でコロナウイルスを広げたのだろうか?」(英紙) [音楽]

当ブログは「音楽と読書と旅行」をタイトルにしているわけですが、昨今の状況で演奏会はまったく開かれず、旅行にも行けないので、筆者としてはもっぱら「読書」に勤しんでおります。

そんな中、オーケストラや合唱などの演奏活動がいつ、どのような形で再開できるのかは、プロ、アマチュアを問わず多くの演奏家・音楽家の関心事です。

ヨーロッパ方面からは、楽器(特に管楽器)の演奏や、歌を歌うことに関して、ウイルスを拡散させるのかどうか、いくつかの実験結果や説が出てきています。

そのうちの一つ、イギリスの新聞「ザ・ガーディアン」が今月17日に掲載した記事が"Did singing together spread coronavirus to four choirs?"というタイトルのこちらです。
日本語だと「一緒に歌うことが4つの合唱団でコロナウイルスを広げたのだろうか?」という意味になります。

一般に、大きな声で歌うことは飛沫を発生し、ウイルスを広げるようなイメージを持たれています。

しかし、この記事によると、ドイツ・ミュンヘンのある大学教授は「(歌う際に)空気が動くのはせいぜい50cmで、ウイルスを拡散するレベルには至らない」と指摘しています。
この教授は、「合唱団メンバー間におけるウイルス感染は、リハーサルや本番の前後における密接さによるものだろう」「これら合唱団メンバー間のの感染拡大は、いずれもCovid-19パンデミックの初期段階で、ロックダウン実施前、私たちがソーシャルディスタンシングの重要性を肝に銘じる前に起きています」「合唱団メンバーたちは、おそらくお互いにハグしたり、休憩中に飲み物をシェアしたり、近い距離で話したりしたでしょう。こうした社交上の行動が、これらの感染拡大の真の原因だと私は信じます」と話しているということです。

また、イギリスのある大学教授は、同じような行動をしていて、ただし歌は歌わないという集団のデータがないと、結論は出せないとの見解を示しています。

つまり、練習や本番の前後に「ソーシャルディスタンシング」に気をつければ、感染を広げる可能性は低いということのようです。

これは、合唱団やオーケストラにとって明るいニュースだと思います。
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「誰が音楽をタダにした?」「地名の世界地図」「日本語を作った男」「日本語の音」=読み終わった本(2020.04) [読書]

「読み終わった本」リスト(備忘録)、2020年4月分です。
演奏会がすべてなくなるなど、家にいる時間が長いので、通勤時には読めない分厚い本にも手をつけました。

▼読み終わった本
*「誰が音楽をタダにした?──巨大産業をぶっ潰した男たち」
スティーヴン・ウィット著、関美和・訳、ハヤカワ・ノンフィクション文庫

誰が音楽をタダにした?──巨大産業をぶっ潰した男たち (ハヤカワ文庫 NF)

誰が音楽をタダにした?──巨大産業をぶっ潰した男たち (ハヤカワ文庫 NF)

  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2018/03/06
  • メディア: 文庫

かなり前に購入したもののなかなか手をつけていませんでしたが、予想以上に面白い本でした。
レコード→CDという形で売られていた音楽が、ネット上で『海賊版』という形で共有され、音楽ビジネスが壊滅し、そして『サブスクリプション』という形に移行するまで、3つの側面から解き明かしていくノンフィクションです。
帯の背表紙側には「mp3を発明したオタク技術者」「業界を牛耳る大手レコード会社CEO」「田舎の工場で発売前のCDを盗む労働者」という言葉が紹介されています。
音楽が「買うもの」から「タダで入手するもの」に変わっていく過程で、この3人がどのような役割を果たしたかが、詳細に語られています。
主に1990年代から2010年代にかけてのお話ですが、その後も音楽ビジネスをめぐる環境・情勢は刻々と変化しているようです。
5年後、10年後はまたガラッと変わっているかもしれません。

▼読み終わった本
*「地名の世界地図」
21世紀研究会・編、文春新書

地名の世界地図

地名の世界地図

  • 作者: 21世紀研究会
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2000/12/20
  • メディア: 新書

古書店で見かけたので即購入。
「人名の世界地図」は以前読んだのですが、この本は未読でした。
カバー袖の紹介文には「地名には、人間の五千年にわたる営みのすべてがこめられている。地球を埋め尽くした国名、都市名をはじめとする地名は、戦争と民族の大移動、大航海によって生み出された壮大な歴史の大辞典なのだ!」とあります。
こうした本を読むと、ヨーロッパではいかに民族の移動と紛争・戦争が続いてきたか、改めて思い知らされます。
もちろん、ヨーロッパ以外も相当なものですが…。

▼読み終わった本
*「日本語を作った男 上田万年とその時代」
山口 謠司・著、集英社インターナショナル

日本語を作った男 上田万年とその時代

日本語を作った男 上田万年とその時代

  • 作者: 山口 謠司
  • 出版社/メーカー: 集英社インターナショナル
  • 発売日: 2016/02/26
  • メディア: 単行本

500ページ以上ある分厚いハードカバーの本。
いきなり森鴎外の会議での発言の場面から始まります。
明治時代後期、今の日本語の基礎となる言葉遣いを作り出し、定着させようとして日本の言語学の始祖の一人であり東大教授・文部省官僚でもあった国語学者、上田万年の業績について詳しく解き明かした本です。
といっても「一代記」というよりは、上田とその周辺の人物の動き・働きを通して、明治期の日本語をめぐるさまざまな動き・思惑を明らかにしています。
「周辺の人物」の中には、森鴎外や夏目漱石のほか、お雇い外国人である来日したなども絡んでいて、とても面白い本でした。

▼読み終わった本
*「日本語の音 (日本語ライブラリー)」
沖森卓也&木村一・編著、安部清哉&加藤大鶴&吉田雅子・著、朝倉書店

日本語の音 (日本語ライブラリー)

日本語の音 (日本語ライブラリー)

  • 出版社/メーカー: 朝倉書店
  • 発売日: 2017/04/17
  • メディア: 単行本

「日本語」に関する本を集中的に読んでますが、これは日本語における「音(音韻)」についての本。
かなり専門的な本ですが、とても参考になりました。

▼読み終わった本
*「ことばの借用 (日本語ライブラリー)」
沖森卓也&阿久津智・編著、岡本佐智子&小林孝郎&中山恵利子・著、朝倉書店

ことばの借用 (日本語ライブラリー)

ことばの借用 (日本語ライブラリー)

  • 出版社/メーカー: 朝倉書店
  • 発売日: 2015/03/04
  • メディア: 単行本

上記のほんと同じシリーズの専門的な本。
こちらは外国語から「借用」した言葉について詳説しています。
「外来語」がかなりの分量を占めているわけですが、カタカナで書かれる現代の外来語のほかにも、古代以来の中国語から入ってきた言葉のほか、いわゆる「翻訳語」についても考察しています。

▼読み終わった本
*「連濁の研究: 国立国語研究所プロジェクト論文選集」
ティモシー・J・バンス&金子恵美子&渡邊靖史・編、開拓社

連濁の研究: 国立国語研究所プロジェクト論文選集

連濁の研究: 国立国語研究所プロジェクト論文選集

  • 出版社/メーカー: 開拓社
  • 発売日: 2017/11/27
  • メディア: 単行本

「連濁」というのは、「日(ひ)」と「傘(かさ)」が続くと「あまがさ」と「か→が」になるような現象のこと。
我々日本人(日本語話者)はふだん意識していませんが、そうでない人たち(外国人)にとっては、その法則などが興味を惹かれる現象のようです。
この「連濁」について学術的に考察したとても勉強になる本でした。
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「日本語の連続/不連続」「日本語の音」=購入した本(2020.04) [読書]

「購入した本」リスト(備忘録)、2020年4月分です。
▽購入した本
*「日本語の連続/不連続 百年前の『かきことば』を読む」
今野真二・著、平凡社新書

日本語の連続/不連続: 百年前の「かきことば」を読む

日本語の連続/不連続: 百年前の「かきことば」を読む

  • 作者: 真二, 今野
  • 出版社/メーカー: 平凡社
  • 発売日: 2020/02/17
  • メディア: 新書


▽購入した本
*「日本語の音 (日本語ライブラリー)」
沖森卓也&木村一・編著、安部清哉&加藤大鶴&吉田雅子・著、朝倉書店

日本語の音 (日本語ライブラリー)

日本語の音 (日本語ライブラリー)

  • 出版社/メーカー: 朝倉書店
  • 発売日: 2017/04/17
  • メディア: 単行本


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